日本の在留資格申請における犯罪歴と素行善良要件の考え方#

永住許可や帰化を申請する際、重要な審査項目の一つに「素行が善良であること(素行善良要件)」があります。日本で生活する上で、過去に交通違反や何らかの犯罪歴がある場合、この要件を満たせるのか、また、どのくらいの期間が経過すれば影響がなくなるのか、という点は多くの方が関心を持つ事柄です。

本稿では、日本の入管制度における素行善良要件と犯罪歴の関係、そして実務上で考慮される「回復期間」の目安について、客観的な情報に基づいて解説します。ただし、ここに記載する期間は法律で明確に定められたものではなく、あくまで一般的な目安であり、最終的な判断は個別の事情を総合的に審査した上で下されることをご理解ください。

素行善良要件とは#

素行善良要件は、申請者が日本の法律を遵守し、社会の一員として非難されることのない生活を送っていることを求めるものです。

  • 永住許可申請(出入国管理及び難民認定法第22条第2項): 「その者の素行が善良であること」が許可要件の一つとして明記されています。
  • 帰化申請(国籍法第5条第1項第3号): 「素行が善良であること」が同様に許可要件とされています。

具体的には、犯罪歴の有無、納税義務の履行状況、社会への迷惑行為の有無などが審査の対象となります。特に、日本の法律に対する遵守意識が厳しく問われるため、犯罪歴は極めて重要な審査項目となります。

犯罪歴が審査に与える影響#

ここでいう「犯罪歴」とは、懲役、禁錮、罰金などの刑罰を受けた経歴を指します。たとえ微罪であっても、罰金刑が科された場合は前科として扱われます。

  • 懲役・禁錮(実刑): 最も重い影響を及ぼします。刑の執行を終えてから相当長期間(一般的に10年以上)が経過しない限り、許可を得るのは非常に困難です。
  • 懲役・禁錮(執行猶予付き): 執行猶予期間が満了しても、すぐに素行が善良であると認められるわけではありません。猶予期間満了後、さらに一定期間、法律を遵守した生活を送る必要があります。
  • 罰金刑: 道路交通法違反(速度超過、飲酒運転など)や暴行罪などで罰金刑を受けた場合も、素行善良要件の審査に大きな影響を与えます。罰金の納付を終えてから、一定期間の経過が求められます。
  • 交通違反(反則金の納付): 駐車違反や軽微な速度超過などで、反則金を納付して手続きが完了するものは、刑事罰である罰金とは異なり、直ちに前科とはなりません。しかし、これらの違反回数が多い場合(目安として過去5年間で5回以上など)は、法律遵守の意識が低いと判断され、審査に不利に働く可能性があります。

回復期間に関する実務上の目安#

法律に明記された規定はありませんが、過去の事例や実務上の傾向から、犯罪歴からの回復に必要な期間の目安が存在します。

  1. 罰金刑を受けた場合: 罰金を完納してから約5年間は、素行善良要件を満たさないと判断される可能性が高いです。この期間は、反省し、法律を遵守する生活を継続していることを示すために必要と考えられています。

  2. 執行猶予付き判決を受けた場合: 執行猶予期間が満了してから約5年〜10年間は、厳しい審査が行われる傾向にあります。犯罪の悪質性や社会への影響度によって、求められる期間は変動します。

  3. 実刑判決を受けた場合: 刑務所から出所した後、最低でも10年以上の期間、何の問題も起こさずに社会生活を送っている実績がなければ、許可は極めて難しいとされています。

これらの期間はあくまで目安です。審査では、期間の経過だけでなく、犯罪の動機や内容、その後の反省の度合い、日本社会への貢献度(ボランティア活動など)、安定した生活基盤(収入、納税状況など)が総合的に評価されます。

まとめ#

犯罪歴がある場合、永住許可や帰化の申請における素行善良要件の審査は非常に厳格になります。法律で定められた明確な回復期間は存在せず、個別の事案ごとに総合的な判断が下されます。

重要なのは、過去の過ちを真摯に反省し、刑罰や罰金の納付を完了させた後、長期間にわたって日本の法律を遵守し、善良な社会の一員として生活を続けることです。もし過去に過ちがあったとしても、その後の行動で社会への適応性と貢献を示すことが、審査において肯定的に評価される道筋となります。


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