高度専門職ポイント計算で過去の年収が申請時の見込み年収を下回る場合の注意点#

高度専門職ビザの申請や更新において、年収はポイント計算を左右する非常に重要な要素です。申請時には「今後1年間に受け取る見込みの年収」を基にポイントを計算しますが、その見込み額の信憑性を証明するために、過去の年収を示す課税証明書などの提出が求められます。このとき、転職や昇給によって過去の実績年収が、申請時に申告する見込み年収を大きく下回ってしまうケースがあります。このような状況にどのように対処すべきか、審査への影響と具体的な方法について客観的に解説します。

ポイント計算における年収の考え方#

高度人材ポイント制における年収の評価は、原則として申請人が「将来1年間に受ける報酬の額」に基づいて行われます。これは、雇用契約書や労働条件通知書に記載された月給や賞与の見込み額から算出されます。

しかし、出入国在留管理庁(以下、入管)の審査では、その見込み年収が確実性の高いものであるかを確認します。そのための客観的な資料として、住民税の課税(または所得)証明書や納税証明書が用いられます。これらの書類には過去1年間の所得が記載されているため、申告された見込み年収と過去の実績との間に大きな乖離がないかどうかが確認されます。

入管が重視するのは、報酬の「安定性」と「継続性」です。そのため、見込み年収が過去の実績を大きく上回る場合、「なぜそのように年収が増加したのか」という点について、合理的な説明が求められることになります。

過去の年収が見込みを下回る具体的なケース#

過去の実績年収と見込み年収に差異が生じる主なケースは以下の通りです。

  1. 転職した直後の申請 前職からより条件の良い会社へ転職した場合、新しい会社での年収は前職の年収を大幅に上回ることがあります。この場合、提出する課税証明書は前職の給与に基づいているため、新しい雇用契約書上の見込み年収との間に大きな差が生まれます。

  2. 大幅な昇給や昇進があった直後の申請 現在の勤務先で昇進したり、会社の業績向上に伴って大幅なベースアップがあったりした場合も同様です。課税証明書が発行された時点ではまだ昇給が反映されていないため、見込み年収との乖離が生じます。

  3. インセンティブや歩合給の割合が高い職種 営業職などで、年収に占めるインセンティブ(歩合給)や業績連動賞与の割合が高い場合、年によって収入が大きく変動することがあります。申請する年が特に好調で高い年収を見込める一方、過去の年収がそれほど高くないという状況も考えられます。

審査への影響と具体的な対処法#

過去の年収が見込み年収を下回っているからといって、直ちに申請が不許可になるわけではありません。重要なのは、その年収の増加が正当な理由に基づくものであることを、客観的な資料と共に明確に説明することです。

1. 理由説明書の作成と提出#

最も重要な対処法は、年収に差異が生じた理由を詳細に記述した「理由説明書」を任意で作成し、提出することです。この説明書には、以下の要素を具体的に、かつ論理的に記載します。

  • 年収が増加した経緯: 「〇年〇月〇日付でA社からB社へ転職し、専門性を評価された結果、年収が〇〇万円から〇〇万円に増加しました」「〇年〇月〇日付の昇進に伴い、給与規程に基づき基本給が〇〇円増加しました」など、具体的な事実を時系列で記述します。
  • 客観的な根拠の提示: 説明内容を裏付ける資料(後述)を添付していることを明記し、審査官が関連性を理解しやすいように案内します。例えば、「詳細は、添付の労働条件通知書(資料1)および辞令(資料2)をご参照ください」といった一文を加えます。
  • 安定性・継続性の主張: その高い報酬が一時的なものではなく、今後も安定して得られる見込みであることを、会社の安定性や雇用契約の内容などから補足的に説明することも有効です。

2. 補足資料の準備#

理由説明書の内容を裏付けるために、以下のような補足資料を添付することが極めて効果的です。

  • 雇用契約書・労働条件通知書: 新しい給与額、賞与の規定などが明記された最新のもの。
  • 辞令・昇格通知書: 会社から発行された昇進や昇格を証明する公式な書類。
  • 給与規程・賃金テーブル: 会社の給与体系が分かる内部資料。昇給の根拠を示すことができます。
  • 直近数ヶ月分の給与明細書: 新しい給与額で実際に給与が支払われている実績を示すことができます。
  • 会社の四季報や業績資料: 会社の業績が好調であることを理由に挙げる場合、その客観的な証拠となります。

3. 申請タイミングの検討#

もし在留期間に余裕がある場合は、申請のタイミングを調整することも一つの選択肢です。例えば、新しい給与での支払い実績が数ヶ月分できてから、あるいは、新しい年収が反映された住民税の課税証明書が発行される時期(通常毎年6月頃)を待ってから申請することで、見込み年収の信憑性をより高めることができます。ただし、在留期限を超えないよう十分に注意が必要です。

まとめ#

高度専門職ビザの申請において、過去の年収が申請時の見込み年収を下回ることは、特にキャリアアップの過程で起こり得ることです。審査で疑義を持たれないためには、なぜ年収が増加したのか、その理由を臆測や曖昧な表現を避け、客観的な証拠資料を添えて丁寧に説明することが不可欠です。適切な準備を行うことで、年収の差異に関する懸念を払拭し、円滑な審査につなげることが可能になります。


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