在留資格申請における年収計算:海外親会社からの給与は含められるか#

在留資格の申請、特に就労を目的とするものや「高度専門職」ビザを目指す場合、申請人の年収は安定性・継続性を判断する上で極めて重要な要素となります。グローバルに展開する企業では、日本の拠点に勤務しながらも、給与の一部または全部が海外の親会社や関連会社から支払われるケースは珍しくありません。このような状況で、「海外法人から支払われる給与を、在留資格審査における年収に含めて計算できるのか」という疑問が生じます。

本稿では、この問題について日本の出入国在留管理制度の基本的な考え方に基づき、客観的に解説します。

原則的な考え方:日本国内での活動の対価であること#

まず、在留資格の審査における年収とは、原則として「申請人が日本で行う活動に対して支払われる報酬」を指します。出入国在留管理庁(以下、入管)が年収を確認する主な目的は、申請人が日本で経済的に自立し、安定的かつ継続的に生活を送れるかどうかを判断するためです。

したがって、日本での業務とは全く関係のない、海外での役員報酬や資産運用による収入などは、通常、この年収計算に含めることはできません。あくまで、許可されようとしている在留資格の範囲内で行う活動の対価が評価の対象となります。

海外からの給与を年収に含められる可能性のあるケース#

原則は上記の通りですが、特定の条件下では海外の法人から支払われる給与も年収に含めることが認められる可能性があります。最も代表的なのが、海外の親会社などから日本の支社や子会社へ「出向」するケースです。

この場合、給与の支払い元が海外法人であっても、その支払いが「日本における業務遂行の対価」であることが客観的に証明できれば、年収として合算して申告することが可能です。

証明のために重要となる点と具体的な書類#

海外からの支払いを年収に含めるためには、その支払いが日本での業務と直接関連していることを、第三者が見ても明確に理解できる形で証明する必要があります。口頭での説明だけでは不十分であり、客観的な証拠資料の提出が不可欠です。

一般的に、以下のような書類を通じて証明を行います。

  1. 出向契約書・出向命令書(辞令) 海外の送出し機関(親会社など)と、日本の受入れ機関(子会社など)の間で交わされた出向に関する契約書や、申請人個人に宛てた出向命令書です。ここには、以下の内容が明記されていることが望まれます。

    • 出向期間
    • 日本での所属先、役職、具体的な業務内容
    • 報酬に関する規定(給与総額、およびどちらの法人がいくら支払うかの内訳など)
  2. 給与支払証明書 海外の親会社が発行する書類で、申請人に対して支払われる給与額、賞与、その他の手当などを証明するものです。支払い通貨が外貨の場合は、申請時点の為替レートで日本円に換算した金額を併記することが望ましいです。

  3. 日本の受入れ機関との雇用契約書またはそれに準ずる書類 日本の受入れ機関からも報酬が支払われる場合は、その雇用契約書も必要です。契約書がない場合でも、労働条件を明記した「雇用条件通知書」などが求められます。

これらの書類を揃え、海外からの支払いと日本からの支払いの合計額が、申請人が日本での活動の対価として得る総報酬であることを一貫して説明することが重要です.

高度専門職ポイント計算における注意点#

特に「高度専門職」の在留資格を目指す場合、年収に基づくポイントは非常に大きなウェイトを占めます。このポイント計算においても、海外からの給与を含める考え方は基本的に同じです。

ただし、ポイント計算はより厳格に審査される傾向にあります。提出された契約書や証明書の内容に基づき、その報酬が間違いなく「高度な専門的活動」の対価であると判断される必要があります。例えば、出向契約書において、日本での職務内容が明確に専門的・技術的なものであることが記載されていなければ、たとえ高額な報酬であってもポイントが認められない可能性があります。

まとめ#

海外の親会社から支払われる給与を在留資格申請の年収計算に含めることは、不可能ではありません。しかし、そのためには「その支払いが、日本国内で行う業務に対する正当な対価である」という事実を、出向契約書などの客観的な資料によって明確に証明する必要があります。

グローバルな人事制度の下で日本に赴任する場合、給与体系が複雑になることは少なくありません。在留資格の申請準備にあたっては、自身の給与がどこから、どのような名目で支払われているかを正確に把握し、それを証明するための書類を海外の所属元と日本の受入れ先の双方と連携して、慎重に準備することが成功の鍵となります。個別の状況に応じて提出すべき資料は異なるため、入管のウェブサイトなどで最新の情報を確認し、準備を進めることが推奨されます。


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