高度専門職の在留資格を持つ方が所属機関を変更する際のポイント計算への影響#
高度専門職の在留資格は、日本の産業に新たな価値をもたらすことが期待される優秀な外国人材を受け入れるために設けられた制度です。この在留資格は、学歴、職歴、年収などの項目をポイント化し、合計が70点以上に達した場合に許可されるという特徴があります。
しかし、この在留資格は特定の「所属機関(勤務先)」での活動を前提として許可されています。そのため、高度専門職の在留資格を持つ方が転職(所属機関の変更)をする際には、改めて手続きが必要となり、その過程でポイントが再計算されます。この再計算が、在留資格の維持に極めて重要な意味を持ちます。
この記事では、所属機関の変更が高度専門職のポイント計算にどのような影響を与えるのか、そして注意すべき点は何かを客観的に解説します。
所属機関変更時に必要な手続き#
高度専門職の方が転職した場合、主に2つの手続きが必要となります。
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所属機関に関する届出 転職によって勤務先が変わった日から14日以内に、出入国在留管理庁に対して「所属機関に関する届出」を提出する義務があります。これはオンラインでも手続きが可能です。
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在留資格変更許可申請 届出とは別に、新しい勤務先で引き続き高度専門職として活動するためには、「在留資格変更許可申請」を行う必要があります。高度専門職の許可は前の勤務先での活動内容を基に判断されているため、転職先でも同様に要件を満たしていることを証明し、改めて許可を得なければなりません。この申請の審査過程で、新しい勤務先の条件に基づいたポイントの再計算が行われます。
ポイント計算に影響を与える主な変動要素#
在留資格変更許可申請の際、以前は70点以上あったポイントが、転職によって70点を下回ってしまうケースがあります。特に以下の項目は変動しやすいため、注意が必要です。
年収#
年収はポイント計算において非常に大きなウェイトを占める項目です。転職によって年収が下がった場合、ポイントが大幅に減少し、70点に満たなくなる可能性があります。例えば、高度専門職1号(ロ)の場合、年収が800万円以上で30点、1,000万円以上で40点と、大きな差があります。転職前に、新しい給与体系で何点になるかを正確に確認することが不可欠です。また、年齢に関わらず年収300万円以上であることが最低要件となります。
勤務先の企業の状況#
勤務先の企業の規模や特性によって、ポイントが加算される場合があります。
- 中小企業基本法に定める中小企業であるか 中小企業で働く場合、10点の加算が受けられます。大企業から中小企業へ転職する場合はポイントが増えますが、逆に中小企業から大企業へ転職する場合はこの10点が失われることになります。
- イノベーションを促進するための支援措置を受けているか 国からイノベーション創出企業としての支援措置を受けている企業に勤務する場合、10点の加算があります。転職先がこの措置の対象でない場合、ポイントが減少します。
職務内容#
ポイント計算では、従事しようとする業務に関連する学歴や実務経験が評価されます。転職によって職務内容が大きく変わり、これまでの学歴や職歴との関連性が薄いと判断された場合、学歴や職歴に関するポイントが認められなくなるリスクがあります。
勤務地#
一部の地方公共団体が関わる事業に勤務する場合など、特定の地域での活動に対して加点される制度があります。勤務地が変更になることで、これらの加点が得られなくなったり、新たに対象になったりする可能性があります。
ポイントが70点を下回った場合のリスク#
万が一、転職後のポイント再計算で合計が70点を下回ってしまった場合、高度専門職への在留資格変更は不許可となります。その場合、速やかに「技術・人文知識・国際業務」など、他の就労可能な在留資格への変更を検討する必要があります。
高度専門職の資格を失うと、複合的な在留活動が認められなくなるほか、永住許可申請における要件緩和(通常10年の在留期間が3年または1年に短縮)といった優遇措置も受けられなくなります。
まとめ#
高度専門職の在留資格を持つ方が転職を検討する際は、単に新しい仕事の魅力や待遇だけでなく、その変更がご自身の在留資格に与える影響を正確に把握することが極めて重要です。特に、年収、企業の規模、職務内容の関連性といったポイントの変動要因を事前に確認し、転職後の条件でも70点以上を維持できるかシミュレーションしておくことが不可欠です。
必要な手続きを怠ったり、ポイント計算の見込みを誤ったりすると、日本での在留資格そのものを失うリスクも伴います。所属機関の変更は、慎重な準備と計画のもとで行うようにしてください。