高度専門職ポイント計算における特許発明の加点と証明書類#
高度専門職ビザの申請において、申請者の能力や実績を客観的な指標で評価するために「ポイント計算制度」が用いられます。このポイント計算には様々な加点項目がありますが、その中でも「研究実績」に関する項目は、専門的な技術や知識を持つ方にとって重要な要素です。
特に、「発明者として特許を受けた発明が一件以上あること」は15点という大きな配点がされており、基準点である70点を達成する上で大きな助けとなります。しかし、この加点を主張するためには、自身が発明者であることを公的な書類で正確に証明する必要があります。
この記事では、高度専門職のポイント計算で特許取得による加点を申請する際に、どのような書類が必要になるのか、そして書類を準備する上での注意点について、具体的かつ客観的に解説します。
特許取得(15点)の加点要件#
まず、ポイント加点の対象となる要件を正確に理解することが重要です。出入国在留管理庁が定めるポイント計算表では、「研究実績」のカテゴリーにおいて以下のように規定されています。
「発明者として特許を受けた発明が一件以上あること:15点」
この要件の核心は、申請者本人が「発明者」であることです。単に特許権を保有している(特許権者である)だけでは要件を満たしません。例えば、企業が特許権者となっている職務発明であっても、申請者がその発明者として公式に記録されていれば、加点の対象となります。日本の特許だけでなく、外国の特許も対象に含まれます。
特許取得を証明するための具体的な必要書類#
この加点を証明するためには、主に以下の書類の提出が求められます。これらの書類によって、特許の存在と、申請者本人がその発明者であることを立証します。
1. 特許証の写し 特許査定が下り、設定登録が完了した際に特許庁から発行される公的な証明書です。これにより、特許が正式に登録されていることを証明します。特許証には、特許番号、発明の名称、特許権者、登録日などが記載されています。
2. 特許公報の写し 特許公報は、登録された特許の内容を公開するために特許庁が発行する公式な刊行物です。この書類が極めて重要な理由は、公報の中に「発明者」の氏名が明確に記載されているためです。申請者は、自身の氏名が「発明者」として記載されているページの写しを提出する必要があります。
出入国在留管理庁の審査では、この特許公報によって、申請者が要件である「発明者」であることを客観的に確認します。したがって、特許証だけでは不十分であり、必ず特許公報の写しをセットで準備する必要があります。
【補足的な書類】 必須ではありませんが、状況に応じて以下のような書類が有効な場合があります。
- 特許登録原簿の写し: 現在の特許権の状況(有効か、移転されていないか等)をより詳細に証明できます。
- 職務発明に関する証明書: 会社に所属している時に行った発明(職務発明)の場合、会社が発行する「発明者証明書」や、社内手続きで用いた「発明届」の写しなども、補足資料として有用な場合があります。
書類準備における注意点#
正確な書類準備は、スムーズな審査のために不可欠です。以下の点に特にご注意ください。
「発明者」であることの証明#
繰り返しになりますが、最も重要なのは申請者が「発明者」であることを証明することです。共同発明の場合でも、発明者の一人として氏名が記載されていれば加点の対象となります。特許公報でご自身の名前が確認できるか、事前に必ず確認してください。
外国特許の場合#
日本国外で取得した特許も加点の対象となります。その場合は、当該国の特許庁に相当する公的機関が発行した特許証や、発明者名が記載された公報などの証明書が必要です。また、それらの書類が外国語で作成されている場合は、全文の日本語訳を添付しなければなりません。翻訳はどなたが行っても構いませんが、翻訳者の氏名と連絡先を明記し、署名または押印する必要があります。
対象となる知的財産権の種類#
加点の対象は「特許」に限られます。同じ知的財産権でも、「実用新案登録」や「意匠登録」は、この「特許発明」の加点項目には該当しませんので注意が必要です。申請する実績が特許法に基づく発明であるかを確認してください。
書類の整合性#
提出する全ての書類において、氏名や発明の名称などの情報に齟齬がないことを確認してください。特に、婚姻などによる改姓で現在の氏名と発明者として記載されている氏名が異なる場合は、戸籍謄本など、氏名の変更を証明できる公的な書類を併せて提出する必要があります。
まとめ#
高度専門職ポイント計算で特許取得による15点を加算するためには、客観的な証拠資料の提出が不可欠です。基本的には「特許証の写し」と「発明者として自身の氏名が記載された特許公報の写し」の2点を準備することが求められます。
特に、申請者自身が「発明者」であることを明確に示すことが審査の鍵となります。外国特許を主張する場合や、氏名に変更がある場合など、個別の状況に応じて追加の書類が必要になることもあります。ご自身の状況を正確に把握し、慎重に書類を準備することが、円滑な申請手続きにつながります。