永住申請における「直近5年」と「直近1年」の審査基準の相違点について#

日本の永住許可申請は、日本に長期間在住し、将来にわたって安定した生活を築くことを希望する外国人にとって重要な手続きです。この審査は非常に厳格であり、申請者の日本社会への定着性や貢献度が多角的に評価されます。特に、公的義務の履行状況は極めて重要な審査項目とされています。その中で、しばしば参照されるのが「直近5年」と「直近1年」という二つの期間です。この二つの期間では、審査される内容とその意図が異なります。この記事では、この「直近5年」と「直近1年」の審査基準の違いについて、誠実かつ客観的に解説します。

「直近5年」で審査される項目とその意図#

永住許可申請において「直近5年」という期間が重視されるのは、申請者の長期的かつ継続的な安定性と、日本社会の構成員としての責任感を評価するためです。一過性の対応ではなく、長期間にわたり真摯に公的義務を果たしてきた実績が求められます。

主な審査項目#

  1. 公的年金の納付状況: 国民年金または厚生年金の加入状況と、保険料の納付状況が審査されます。原則として、直近5年間の全ての期間において、加入義務を果たし、保険料を納付期限内に納めていることが求められます。過去に未納期間がある場合、その後の納付実績を含めて総合的に判断されますが、直近5年間のクリーンな記録は極めて重要です。
  2. 公的医療保険の納付状況: 国民健康保険または勤務先の健康保険(社会保険)への加入と、保険料(税)の納付状況が確認されます。年金と同様に、直近5年間の全期間において、適切に加入し、滞りなく納付していることが基本となります。
  3. 納税状況: 住民税や国税(所得税など)の納税義務を適正に果たしているかが審査されます。特に住民税は、前年の所得に対して課されるため、継続して安定した所得があったことの間接的な証明にもなります。直近5年分の納税証明書や課税証明書の提出が求められ、未納や滞納、納付遅延がないことが必須です。

これらの項目が「5年」という長期にわたって見られるのは、申請者が日本の社会保障制度や税制を正しく理解し、継続的に貢献してきた実績を客観的に証明するためです。この期間における義務の不履行は、永住者としての適格性に大きな疑義を生じさせる要因となります。

「直近1年」で審査される項目とその意図#

「直近1年」という期間は、申請時点における生活の安定性や素行の善良性を確認するために特に重要視されます。過去の実績もさることながら、「今現在」の状況が永住許可の判断に大きく影響します。

主な審査項目#

  1. 所得(年収): 独立して生計を立てられるだけの安定した収入があるかどうかが、直近1年の所得状況で判断されます。明確な基準額は公表されていませんが、一般的には年収300万円程度が一つの目安とされています。ただし、これは単身者の場合であり、扶養する家族がいる場合は、その人数に応じてより高い年収が求められます。直近1年間の課税証明書などで、この基準を満たしていることを証明する必要があります。
  2. 在留状況と素行:
    • 出国日数: 生活の基盤が日本にあることを示すため、長期間の出国は避けるべきとされています。明確な規定はありませんが、年間でおおむね100日以上の出国や、1回の出国で3ヶ月以上日本を離れている場合、「生活の本拠が日本にない」と判断され、不許可のリスクが高まります。特に申請直前の1年間の出国履歴は厳しく見られます。
    • 法律遵守: 交通違反やその他の法令違反がないかどうかも審査されます。軽微な交通違反であっても、その回数が多い場合は素行が善良でないと判断される可能性があります。直近1年間の行動は特に注目されます。

「直近1年」の審査は、申請者が現時点で日本社会において安定した生活を営み、かつ、良き社会の一員として行動しているかを最終確認する意味合いが強いと言えます。

まとめ#

永住申請における審査基準を期間で整理すると、以下のようになります。

  • 直近5年: 「継続性」と「信頼性」の証明。年金、健康保険、税金といった公的義務を長期間にわたり、遅延なく果たしてきたかを見るための期間です。これは、過去から現在に至るまでの社会貢献の実績を示します。
  • 直近1年: 「現在」の安定性と「適格性」の証明。申請時点での十分な収入、日本を生活基盤とする在留実態、そして法律を遵守する善良な素行を確認するための期間です。

永住許可を得るためには、これら二つの異なる時間軸における要件を、いずれも満たしている必要があります。申請を検討する際には、ご自身の過去5年間および直近1年間の記録を正確に把握し、全ての公的義務が適切に履行されているかを確認した上で、慎重に準備を進めることが極めて重要です。


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