永住取得後の通称名の使用と在留カードへの表記に関するルール#

永住許可を取得された方の中には、日本での生活が長くなるにつれて、日常生活や職場において日本名に近い「通称名(通名)」を使用したいと考える方が多くいらっしゃいます。あるいは、すでに通称名を使用しており、永住者になったことを機に、それを在留カードに記載できるのかという疑問を持たれることもあります。

本記事では、永住許可取得後における「通称名」の取り扱い、特に在留カードへの表記の可否や、住民票・マイナンバーカード等での取り扱いルールについて、制度の仕組みに基づき詳細に解説します。

在留カードに通称名は記載できるのか#

結論から申し上げますと、中長期在留者(永住者を含む)に交付される「在留カード」には、原則として「通称名」を記載することはできません。

在留カードは、出入国在留管理庁が発行する公文書であり、その記載内容は所持人のパスポート(旅券)の情報と一致している必要があります。国際的な身分証明書としての性質を帯びているため、パスポートに記載されていない「日本国内でのみ通用する名前(通称名)」を併記することは、入管法上の運用として認められていないのが現状です。

したがって、永住者であっても、在留カードの氏名欄には、原則としてアルファベット(ローマ字)表記の氏名のみが記載されます。

特別永住者証明書との違い#

なお、「特別永住者」の方(歴史的経緯により特別な法的地位を有する方)が所持する「特別永住者証明書」には、通称名の記載が認められています。しかし、一般の就労ビザや配偶者ビザ等から「永住者」になった方(一般永住者)の在留カードはこれとは異なり、通称名の記載欄そのものが存在しません。この点を混同しないよう注意が必要です。

漢字氏名の併記について#

通称名は記載できませんが、在留カードには「漢字氏名の併記」が認められる場合があります。これは通称名とは異なる概念です。

中国、台湾、韓国など、漢字を使用する国・地域出身の方の場合、アルファベット氏名に加えて、母国の漢字による氏名を在留カードに併記するよう申し出ることができます。この手続きを行うと、在留カードにはローマ字と漢字の両方が記載されます。

しかし、これはあくまで「本国の氏名を漢字で表記したもの」であり、日本風の好きな名前(通称名)を自由に登録できる制度ではありません。あくまでパスポートや出生証明書等で確認できる本名の漢字表記に限られます。

通称名が使用・記載できる公的書類#

在留カードには記載できない通称名ですが、市区町村が管理する「住民票」に関連する公的書類には、所定の手続きを経ることで記載・使用することが可能です。

永住取得後に通称名を公的に使用したい場合、以下の書類には記載が可能です。

  1. 住民票
  2. マイナンバーカード
  3. 運転免許証(住民票に通称名が記載されている場合)
  4. 健康保険証(勤務先や組合の規定によるが、記載可能な場合が多い)

これにより、銀行口座の開設や不動産契約、携帯電話の契約など、日本国内の多くの行政・民間手続きにおいて、通称名を使用することが可能となります。

通称名を登録するための手続きとルール#

通称名を住民票に記載するためには、居住地の市区町村役場において「通称記載の申出」を行う必要があります。

必要となる疎明資料#

単に「この名前を使いたい」と申し出るだけでは登録は認められません。「その通称名がすでに日本国内の社会生活において通用していること」を客観的に証明する必要があります。

一般的に、以下のような資料の提示が求められます(自治体により異なります)。

  • 通称名で受領した郵便物(消印があるもの複数)
  • 勤務先が発行した在職証明書や社員証(通称名が記載されたもの)
  • 給与明細書
  • 公共料金の領収書
  • 通称名名義の預金通帳(すでに作成できている場合)

これらの資料によって、「この名前は単なる自称ではなく、社会生活実態として定着している」と自治体が判断した場合に限り、住民票への記載が許可されます。

永住申請前の登録#

もし、将来的に通称名の使用を考えている場合は、永住権を取得する前から実績を作っておくことが一般的です。永住許可そのものと通称名の登録は別の手続きですので、永住者になったからといって自動的に通称名が認められるわけでも、逆に審査が緩くなるわけでもありません。

在留カードとその他の身分証の使い分け#

永住者の方が通称名を登録した場合、手元には「本名(ローマ字)のみの在留カード」と「通称名が併記されたマイナンバーカードや運転免許証」という、表記の異なる身分証明書が存在することになります。

この「名前の食い違い」は、実生活でいくつかの注意点を生じさせます。

本人確認時の注意#

銀行や役所での手続きの際、提示する身分証明書によって名前が異なると、本人確認に時間を要することがあります。通常は、通称名が記載された住民票の写しなどを併せて提示することで同一人物であることを証明します。

海外渡航時の注意#

海外へ渡航する際の航空券の予約は、必ず「パスポートの記載名(ローマ字)」で行う必要があります。通称名で航空券を予約してしまうと、パスポート名と一致せず、飛行機に搭乗できないという重大なトラブルになります。また、再入国の際に提示する在留カードも本名表記ですので、出入国管理の手続きにおいては、一貫してパスポート名を使用することになります。

まとめ#

永住許可取得後の通称名の使用と在留カードへの表記については、以下のポイントが重要です。

  • 在留カードへの記載不可: 一般永住者の在留カードには、通称名は記載できません。記載できるのは、原則としてローマ字氏名と、漢字圏出身者の漢字氏名表記(本名)のみです。
  • 住民票・マイナンバーカード等は記載可: 市区町村での手続きを経て、住民票、マイナンバーカード、運転免許証には通称名を記載・併記することができます。
  • 登録には実績が必要: 通称名を登録するには、その名前が社会生活で実際に使用されていることを示す証拠資料(郵便物、給与明細等)が必要です。
  • 公的手続きでの使い分け: 入管手続きや海外渡航では「パスポート名(本名)」、日常生活では「通称名」という使い分けが必要になります。

永住者としての生活基盤を日本に置く上で、通称名の使用は生活の利便性を高める一つの手段です。しかし、国の管理する在留資格制度(入管庁)と、地域の居住関係を公証する住民基本台帳制度(市区町村)では、名前に対する考え方やルールが異なることを正しく理解しておくことが大切です。


運営者情報  |  プライバシーポリシー  |  お問い合わせ

© 2026 Japan Permanent Residency Q&A Database