結婚後すぐに永住申請を行うことのリスクと注意点#

日本の永住権は、在留活動や在留期間に制限がなくなり、より安定した生活基盤を築くことができるため、多くの外国人居住者にとって一つの大きな目標です。特に、日本人や永住者と結婚した場合、永住許可の要件が緩和される特例があるため、早期の申請を検討する方も少なくありません。しかし、結婚して数ヶ月といった短期間で永住申請を行うことには、大きなリスクが伴うことを理解しておく必要があります。この記事では、その具体的なリスクと、審査において重要視される点について客観的に解説します。

永住許可の原則と配偶者の特例#

まず、永住許可の基本的な要件を確認します。永住許可を得るためには、原則として以下の3つの要件を満たす必要があります。

  1. 素行善良要件: 法律を遵守し、日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。
  2. 独立生計要件: 公的負担にならず、資産や技能等から見て将来にわたり安定した生活が見込まれること。
  3. 国益適合要件: 日本の利益になると認められること。この要件には、原則として「引き続き10年以上日本に在留していること」が含まれます。

日本人や永住者の配偶者の場合、この「国益適合要件」について特例が設けられています。具体的には、「実態を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に在留していること」が求められます。この特例により、10年の在留期間を待たずに永住申請が可能となります。

結婚後すぐの申請が極めて困難である理由#

結婚して数ヶ月という短期間での永住申請は、上記の配偶者特例の要件を全く満たしていないため、原則として許可されることはありません。審査が厳しくなる、というレベルではなく、要件不適合として不許可になる可能性が非常に高いです。その主な理由は以下の通りです。

1. 婚姻の信憑性・安定性の証明ができない#

永住審査において、配偶者としての特例を適用するためには、その婚姻が真実であり、安定的かつ継続的なものであることを客観的な証拠をもって証明する必要があります。結婚後わずか数ヶ月では、共同生活の実態が乏しく、「安定的・継続的な婚姻関係」を証明することは極めて困難です。出入国在留管理庁は、永住権や在留資格の取得を目的とした偽装結婚を厳しく取り締まっており、婚姻期間が短い申請に対しては、その信憑性を特に慎重に審査します。

2. 「婚姻生活3年以上」の要件を満たしていない#

最大の障壁は、前述の「実態を伴った婚姻生活が3年以上継続」という明確な要件です。これは単に婚姻届を提出してからの期間ではなく、実際に夫婦として同居し、協力し、生計を一つにして生活している実態が3年以上必要であることを意味します。例えば、国際結婚で海外での婚姻期間が2年半あり、その後日本で同居して半年が経過した場合などは、合計3年の要件を満たす可能性があります。しかし、交際期間が長くても、法的な婚姻関係と共同生活の実態が始まってから3年が経過していなければ、この要件を満たすことはできません。

3. 日本への定着性が認められにくい#

永住許可は、申請者が将来にわたって日本社会の構成員として生活していくことを認めるものです。そのため、申請者の日本への「定着性」が重要な審査項目となります。結婚という身分関係は定着性を基礎づける重要な要素ですが、その期間が数ヶ月と短い場合、その関係が将来にわたって継続するものであると判断することが難しくなります。結果として、日本への定着性が不十分であると見なされるリスクが高まります。

リスクを避けるための確実なステップ#

結婚後すぐに永住申請を検討するのではなく、以下のステップを踏むことが、結果的に永住許可への確実な道となります。

  • 在留資格の更新を優先する: まずは「日本人の配偶者等」または「永住者の配偶者等」の在留資格を確実に取得し、更新を重ねることが重要です。これにより、日本での安定した在留実績を築くことができます。通常、最初は1年の在留期間が許可され、問題なく婚姻生活が継続していれば、次は3年や5年の在留期間が許可される傾向にあります。
  • 婚姻の実態を示す証拠を蓄積する: 婚姻生活が3年以上に達するまで、夫婦関係が良好であることを示す客観的な証拠を日頃から整理・保管しておくことをお勧めします。例えば、一緒に写っている写真(日付がわかるもの)、家族や友人との交流を示すもの、家計を共にしていることがわかる資料(公共料金の明細書、賃貸借契約書など)が有効です。
  • 要件を満たしたタイミングで申請する: 「実態を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に在留」という要件を明確に満たした時点で申請準備を始めるのが賢明です。焦って申請し、一度不許可になると、その記録が残り、将来の申請に影響を与える可能性もゼロではありません。

まとめ#

日本人や永住者と結婚したからといって、すぐに永住権が取得できるわけではありません。特に、結婚後数ヶ月という短期間での申請は、「婚姻生活3年以上」という法律上の要件を満たしておらず、不許可となるリスクが極めて高いです。永住権の取得を成功させるためには、法律で定められた要件を正しく理解し、焦ることなく、日本での安定した婚姻生活と在留実績を積み重ねていくことが最も重要です。確実な準備を行うことが、永住という目標を達成するための最善の道筋となります。


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