単身赴任で住所が異なる場合の「生計の同一性」の証明方法#

日本の在留資格申請、特に「家族滞在」ビザの取得や永住許可申請などにおいて、「生計の同一性」は非常に重要な審査項目の一つです。これは、申請者とその扶養者が経済的に一つの単位として生活していることを意味します。しかし、会社の命令による単身赴任や、子供の教育、親の介護といったやむを得ない事情で、家族が別々の住所で生活するケースは少なくありません。

このような状況では、「一緒に住んでいないから生計が別々だ」と判断されるのではないかと不安に思われるかもしれません。しかし、適切な書類を準備し、状況を合理的に説明することで、住所が異なっていても「生計の同一性」を証明することは十分に可能です。この記事では、その具体的な方法について客観的な視点から解説します。

「生計の同一性」の基本的な考え方#

入管当局が確認する「生計の同一性」とは、単に同居しているという物理的な事実だけを指すものではありません。その本質は、家族が家計を共有し、主たる生計維持者(扶養者)が被扶養者の生活費を安定的に支えているという経済的な一体性にあります。

したがって、住所が異なっていても、扶養者から被扶養者へ定期的に生活費が送金され、それによって被扶養者の生活が成り立っている実態があれば、生計は同一であると認められる可能性があります。審査では、その関係が安定的かつ継続的であることを、客観的な証拠をもって示すことが求められます。

生計の同一性を証明するための主要な提出書類#

同居している場合に提出する課税証明書や納税証明書などに加え、住所が異なる場合は、経済的なつながりを証明するための追加資料が極めて重要になります。

1. 送金証明書類#

最も直接的で強力な証拠となるのが、扶養者から被扶養者への送金記録です。

  • 銀行の振込記録: 預金通帳のコピーや、インターネットバンキングの取引明細書などが該当します。送金人、受取人、日付、金額が明確に記載されている必要があります。
  • 海外送金サービスの利用証明書: 国際送金サービス(Wise, Western Unionなど)を利用している場合は、その利用履歴や領収書を提出します。

これらの書類を提出する際は、一度きりの送金ではなく、定期的かつ継続的に送金が行われていることを示すことが肝要です。また、送金額が被扶養者の居住国の物価水準に照らして、生活費として妥当な金額であることも考慮されます。

2. 家族関係を証明する補足資料#

経済的なつながりに加え、家族としての関係が良好に継続していることを示す資料も、申請の説得力を高めます。

  • 通信記録: LINE、WhatsApp、Skypeといったメッセージアプリでの通話履歴や、日常的なメッセージのやり取りのスクリーンショットなど。頻繁に連絡を取り合っている様子を示すことができます。
  • 面会・一時帰国の記録: 扶養者が家族のもとへ一時帰国した際の航空券の半券やEチケットの控え、パスポートの出入国スタンプのコピーなどが有効です。一緒に撮影した写真なども、家族関係の実体を示す補足資料となり得ます。

理由書の重要性と記載すべき内容#

なぜ家族が別々の住所で生活しているのか、その背景と事情を説明する「理由書」は、審査官に状況を理解してもらうために不可欠な書類です。単に「仕事の都合で」と記述するだけでなく、以下の点を具体的に、かつ丁寧に説明することが求められます。

  • 別居に至った経緯: 会社の辞令による単身赴任であること、その職務内容や赴任地などを具体的に記載します。
  • 別居の理由: なぜ家族が同行できないのか、そのやむを得ない事情を説明します(例:子供が現在通っている学校を卒業するまで転校させられない、高齢の親の介護が必要であるため、など)。
  • 経済的な扶養の具体的方法: 毎月いくら、どのような方法で生活費を送金しているのかを明記します。
  • 今後の生活設計: 将来的に日本で同居する具体的な計画がある場合は、その見通しについても触れると、家族としての一体性をより強く示すことができます。

まとめ#

単身赴任などの事情で家族と住所が異なっていても、在留資格申請における「生計の同一性」を証明することは可能です。その鍵となるのは、①定期的・継続的な送金記録という客観的な証拠、②別居の理由と家族のつながりを丁寧に説明する理由書、この二つを揃えることです。

主張だけではなく、それを裏付ける資料を一つひとつ着実に準備し、家族が経済的にも精神的にも一つの単位として機能している実態を明確に示すことが、申請の許可を得るための最も確実な道筋です。


運営者情報  |  プライバシーポリシー  |  お問い合わせ

© 2026 Japan Permanent Residency Q&A Database