追加資料通知で直近3ヶ月の給与明細を求められた際の確認ポイント#

在留資格の変更申請や更新申請を行っている最中に、出入国在留管理庁(入管)から「資料提出通知書」が届くことがあります。この通知は、審査の過程でさらに確認すべき事項が発生した場合に送付されるものです。その中でも頻繁に求められる資料の一つが「直近3ヶ月分の給与明細書の写し」です。

なぜ入管は、すでに提出された雇用契約書や課税証明書に加えて、直近の給与明細を求めるのでしょうか。そこには、単に「働いているか」を確認する以上の重要な審査意図が含まれています。ここでは、給与明細の提出を求められた際に、提出前に必ず確認しておくべきチェックポイントを客観的に解説します。

1. 社会保険料と税金の天引き状況#

最も重要なチェックポイントは「控除項目」です。給与明細には、基本給などの支給額だけでなく、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、所得税、住民税などが記載されています。

審査官は、これらが法令通りに給与から天引き(源泉徴収・特別徴収)されているかを確認します。特に、社会保険(健康保険・厚生年金)への加入義務がある事業所で働いているにもかかわらず、給与明細上で保険料が引かれていない場合は、未加入を疑われる可能性があります。

また、住民税が「特別徴収(給与天引き)」ではなく「普通徴収(自分で納付)」になっている場合、実際に納付しているかどうかが別途問われることがあります。もし給与明細で天引きされていない項目がある場合は、別途、領収証書の写しなどを用意し、納税・納付義務を果たしていることを証明する準備をしておくのが賢明です。

2. 基本給と実支給額の整合性#

次に確認すべきは、申請時に提出した「雇用契約書」や「労働条件通知書」に記載された金額と、実際の給与額が一致しているかどうかです。

例えば、契約書には「月給25万円」と記載されているのに、給与明細の総支給額が「18万円」しかない場合、審査官は不審に思います。もちろん、欠勤や休職などの正当な理由があれば問題ありませんが、その場合はなぜ金額が下がっているのかを説明する「理由書」を添付することが推奨されます。

逆に、契約金額よりも極端に高い給与が支払われている場合も注意が必要です。基本給に見合わない高額な手当が含まれていないか、あるいは計算間違いがないかを確認する必要があります。

3. 残業時間と労働基準法の遵守#

給与明細には、時間外労働(残業)の手当や時間が記載されていることが一般的です。ここで審査されるのは「過重労働の有無」です。

入管法上の審査では、労働関係法令の遵守も重要な要素となります。もし給与明細上の残業時間が、36協定の上限を超えていたり、過労死ラインを超えるような長時間労働を示していたりする場合、コンプライアンスの観点から所属機関(会社)の適格性が疑われる可能性があります。また、留学生のアルバイト(資格外活動)から就労ビザへの変更申請の場合、過去の給与明細から週28時間制限の違反が発覚することもあります。

4. 扶養手当と家族構成の整合性#

見落としがちなのが「扶養人数」や「扶養手当」の欄です。給与明細上の扶養人数が、申請書や課税証明書の記載と一致しているか確認してください。

よくあるケースとして、本国の親族を扶養に入れているために所得税が減額されている場合があります。これが税法上適正な手続きを経ていれば問題ありませんが、実態のない扶養家族を計上して税金を安くしていると判断された場合、納税義務の不履行として在留資格の審査に大きなマイナス影響を及ぼします。

5. 交通費の支給状況#

通勤手当(交通費)の支給状況も確認されます。勤務地が自宅から遠いにもかかわらず交通費が支給されていない、あるいは極端に低い場合、実在しない勤務先で働いている(ペーパーカンパニーなど)のではないか、あるいは別の場所に住んでいるのではないかという疑念を持たれることがあります。

提出時の注意点:説明責任を果たすこと#

給与明細を確認した結果、もし契約内容と異なる点や、未納に見える点、あるいは誤解を招きそうな記載が見つかった場合はどうすべきでしょうか。

この場合、単に給与明細を提出するだけでなく、「なぜそうなっているのか」を説明する「理由書(説明書)」を任意で添付することが非常に有効です。例えば、「〇月は体調不良により欠勤が続いたため、支給額が減少しています」や、「住民税は普通徴収となっており、別途納付済みです(領収書を添付します)」といった具体的な説明を加えることで、審査官の懸念を解消することができます。

まとめ#

入管から「直近3ヶ月の給与明細」を求められるということは、審査官が申請人の現在の就労実態、収入の安定性、そして納税・社会保険の履行状況を細かく確認したいと考えている証拠です。

これは決してネガティブな通知ではなく、「実態を証明するチャンス」です。提出前に記載内容を精査し、もし不整合があれば誠実に説明を加えることで、許可への道筋を確かなものにすることができます。何も説明せずに矛盾のある資料を提出することが、最も避けるべき対応です。


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