犯罪と永住許可:万引きや占有離脱物横領が申請に与える影響#

日本の永住許可を申請する際、申請者のこれまでの行動や法令遵守の状況が厳しく審査されます。その中でも特に重要なのが「素行善良要件」です。「少額の万引きくらいなら問題ないだろう」「落とし物を届けなかっただけだ」といった軽い気持ちで犯してしまった過ちが、永住許可への道を閉ざしてしまう可能性があります。

この記事では、万引き(窃盗罪)や占有離脱物横領といった、比較的軽微と捉えられがちな犯罪行為が、永住許可申請に具体的にどのような影響を及ぼすのかを、客観的な情報に基づいて解説します。

永住許可の基本要件と「素行善良要件」#

永住許可を得るためには、原則として以下の3つの要件を満たす必要があります。

  1. 素行が善良であること(素行善良要件)
  2. 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること(独立生計要件)
  3. その者の永住が日本国の利益に合すると認められること(国益要件)

この中で、犯罪歴が直接的に関係するのが「素行善良要件」です。出入国管理及び難民認定法(入管法)のガイドラインでは、この要件について「法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること」と説明されています。具体的には、日本の法律に違反して懲役、禁錮または罰金に処せられたことがないか、といった点が審査の対象となります。

万引き・占有離脱物横領が「素行善良」に与える影響#

万引きは刑法上の「窃盗罪」、放置された自転車を勝手に乗ったり、拾った財布を届け出ずに自分のものにしたりする行為は「占有離脱物横領罪」という、れっきとした犯罪です。たとえ被害額が少額であっても、これらの行為で有罪となり刑事罰(罰金刑以上)を受けた場合、「法律を遵守」しているとは到底みなされず、素行善良要件を満たさないと判断される可能性が極めて高くなります。

重要なのは、刑事罰の有無だけが判断基準ではないという点です。たとえ検察官が起訴を見送る「不起訴処分(起訴猶予など)」になったとしても、警察に検挙されたという事実は記録として残ります。出入国在留管理庁は警察庁と情報を共有しているため、申請者が申告しなくても、過去の犯罪歴や警察による補導歴などを把握することが可能です。そのため、不起訴処分であっても、審査において不利な要素として総合的に判断されることがあります。

刑事罰と永住申請への具体的な待機期間#

もし罰金刑以上の刑事罰を受けた場合、永住許可申請が認められるまでには、刑の執行が終わってから相当の期間、日本で善良な社会生活を営む必要があります。明確な法律の定めはありませんが、実務上の目安として、一般的に以下のような期間が必要とされています。

  • 罰金刑の場合: 刑の支払いを終えてから約5年間
  • 執行猶予付き判決の場合: 執行猶予期間が満了してから約5年間
  • 懲役・禁錮の実刑判決の場合: 刑期の満了後(出所後)から約10年間

これらの期間はあくまで一般的な目安であり、犯行の動機や悪質性、被害弁償の状況、本人の反省の度合い、そして日本社会への貢献度など、様々な要素を考慮して個別に判断されます。したがって、目安の期間が経過すれば必ず許可されるという保証はありません。

申請時に正直に申告する重要性#

過去に過ちを犯してしまった場合、それを隠して申請することは絶対に避けるべきです。前述の通り、入管は申請者の情報を調査する権限を持っており、虚偽の申告は高い確率で発覚します。

もし犯罪歴を隠していたことが発覚すれば、虚偽申請として永住許可が不許可になるだけでなく、現在保有している在留資格の更新が認められなくなったり、最悪の場合は在留資格が取り消されたりする危険性もあります。

不利な事実があったとしても、正直に申告することが不可欠です。その上で、なぜそのような行為に至ったのかを説明し、深く反省していることを示す文書(反省文など)や、再犯防止のための具体的な取り組み、社会貢献活動の実績などを任意で提出することで、審査官に誠実な姿勢を示すことが重要になります。

まとめ#

万引きや占有離脱物横領は、金額の大小にかかわらず、日本の法律では犯罪行為です。永住許可申請において、これらの行為は「素行善良要件」を著しく損なう重大なマイナス要因となります。軽い気持ちで行った一つの過ちが、長年日本で築き上げてきた生活の基盤を揺るがしかねません。

日本に永住を希望するのであれば、日頃から高い規範意識を持ち、法律を遵守した生活を送ることが大前提となります。万が一、過去に過ちを犯してしまった場合には、その事実から目を背けず、誠実に向き合い、十分に反省した上で申請に臨む姿勢が求められます。


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