入管からの追加資料通知:銀行通帳の「不明な送金・入金」を指摘された場合の対応策#

ビザ(在留資格)の変更や更新、あるいは永住申請において、出入国在留管理庁(入管)から「資料提出通知書(追加資料通知)」が届くことがあります。その中でも特に回答に慎重を要するのが、提出した銀行通帳の写しに関する指摘です。

「○月○日の××万円の入金原資について説明してください」 「通帳に見られる多数の個人名義の送金について詳細を報告してください」

このような指摘を受けた際、どのように対応すればよいのか、審査官の意図と適切な回答方法について解説します。

なぜ入管は銀行通帳の細かい入出金をチェックするのか#

まず、審査官がなぜ通帳の明細を細かく見ているのか、その背景を理解する必要があります。主な理由は以下の3点に集約されます。

1. 資格外活動違反(オーバーワーク)の確認#

留学生や家族滞在ビザを持つ外国人がアルバイトをする場合、原則として「週28時間以内」という制限があります。給与が銀行振込の場合、通帳の入金記録を見れば、おおよその労働時間が推測できます。 複数の会社から給与が振り込まれている場合や、計算上明らかに週28時間を超える額が入金されている場合、入管は「不法就労」を疑います。

2. 見せ金(Miserugane)の疑い#

「見せ金」とは、本来は自分のお金ではないのに、ビザ申請の直前に知人などから一時的にお金を借り、口座残高を多く見せる行為です。 申請直前にまとまった額の「謎の入金」があり、審査終了後に同額が出金されているようなパターンは、経済的基盤の偽装として厳しくチェックされます。

3. マネーロンダリングや未申告収入の確認#

経営・管理ビザや就労ビザの場合、事業の実態や個人の収入と課税証明書の整合性が問われます。税務署に申告していない収入が口座に入っている場合、脱税や不法なビジネスへの関与が疑われます。

「不明な送金」として指摘されやすい取引例#

審査官が「説明」を求めるのは、主に以下のような取引です。

  • 名義が不明瞭な入金: 会社名ではなく個人名(社長名義など)での振込。
  • 高額な現金入金(ATM): 原資(お金の出どころ)が証明できない数百万円単位の入金。
  • 不定期かつ頻繁な入金: 友人・知人との貸し借りや、ネットオークションの売上など、一見して性質が分からないもの。
  • 海外送金: 海外からの生活費の援助なのか、ビジネスの取引なのか判別できないもの。

指摘を受けた際の具体的な対応手順#

通知が届いた場合、無視をしたり適当な嘘をついたりすることは致命的です。以下の手順で論理的に説明資料を作成する必要があります。

手順1:事実確認と記憶の整理#

まず、指摘された日付と金額を正確に確認します。誰からの入金か、何のための出金か、記憶だけでなく記録(メール、LINEの履歴、契約書、領収書)を掘り起こしてください。

手順2:説明書(理由書)の作成#

単に口頭で説明することはできませんので、A4用紙で「説明書」または「理由書」を作成します。 以下の要素を記載します。

  • 取引の特定: 日付、金額、相手方。
  • 取引の性質: 給与、借金の返済、親からの仕送り、物品の売却代金など。
  • 経緯: なぜその取引が発生したのか。

手順3:客観的な証拠資料の添付#

説明書の内容が真実であることを証明する「裏付け資料」が必須です。

  • 親からの仕送りの場合: 海外送金証明書、両親とのやり取りの履歴。
  • 友人への貸したお金の返済の場合: 借用書、貸した際の出金記録、SNSでのやり取り(「今日返すね」等のメッセージ)。
  • 物品の売却(メルカリ等)の場合: 取引完了画面のスクリーンショット、売上明細。

ケーススタディ:よくあるパターンの回答方針#

ケースA:友人から頻繁に入金がある場合#

「友人に現金を貸し、振込で返してもらった」というケースはよくありますが、入管はこれを「個人的なアルバイト(ヤミ仕事)」ではないかと疑います。 友人との金銭貸借であることを証明するために、友人の署名入りの上申書(「私が彼から借りたお金を返しました」という一筆)をもらうことが有効です。

ケースB:親から手渡しで大金をもらい、ATMで入金した場合#

海外から来日した両親から生活費として現金をもらい、それを自分の口座に入れた場合、通帳には単に「現金入金」としか記載されません。 この場合、両親の入国記録(パスポートの写し)や、両親が日本で円に両替した計算書(外貨両替のレシート)、あるいは本国でその現金を引き出した記録などを提出し、「両親が来日した際に持参した資金である」ことを立証します。

ケースC:オーバーワーク(資格外活動違反)をしてしまっていた場合#

もっとも深刻なケースです。もし指摘された入金が、法定時間を超えて働いたことによる給与である場合、ごまかすことは困難です。 入管はすでに課税証明書や所属機関からの報告で事実を把握している可能性が高いです。ここで嘘をつくと「虚偽申請」となり、ビザの不許可だけでなく、今後の入国禁止期間が設けられるリスクがあります。 違反の事実がある場合は、正直に事実を認め、反省文を提出し、現在は違反状態が解消されていることを示すしかありません。ただし、違反の程度によっては不許可になる可能性も十分にあります。

まとめ#

入管から銀行通帳の不明な入出金を指摘された場合、重要なのは「透明性」と「整合性」です。 「やましいお金ではない」ことを証明するのは申請人の責任です。 家計簿をつけていない場合でも、過去のメールや記憶を辿り、可能な限り客観的な証拠を揃えて、誠実かつ論理的な文章で回答することが、許可への唯一の道筋となります。


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