永住許可後に犯罪を犯した場合の在留資格への影響について#

日本の永住権(永住許可)は、在留期間の更新が不要となり、活動にも制限がなくなるため、日本で安定した生活を築く上で非常に重要な在留資格です。しかし、この永住権は一度取得すれば絶対に安泰というわけではありません。特に、永住許可後に犯罪を犯してしまった場合、その永住資格を失い、日本から退去を命じられる可能性があります。

ここでは、永住許可を受けた方が犯罪を犯した場合に、どのような法的措置が取られるのか、その具体的なケースについて客観的な視点から解説します。

在留資格の「取消」と「退去強制」の違い#

まず理解すべき重要な点は、「在留資格の取消」と「退去強制」は異なる手続きであるということです。

  • 在留資格の取消(入管法第22条の4): 主に、在留資格の許可申請時に虚偽の申告があった場合など、許可そのものに瑕疵があった場合に適用されます。永住許可後の犯罪行為が、直接この「取消事由」に該当することは稀です。
  • 退去強制(入管法第24条): 日本の法律や社会秩序を著しく害する行為を行った外国人に対して、その意思にかかわらず日本から強制的に退去させる手続きです。永住者が犯罪を犯した場合に問題となるのは、主にこちらの「退去強制」です。

永住者は在留資格の更新が不要なため、素行に問題があっても更新不許可というかたちで在留資格を失うことはありません。その代わり、一定の重大な犯罪を犯した場合には、退去強制手続の対象となります。

退去強制の対象となる犯罪行為#

出入国管理及び難民認定法(入管法)第24条には、退去強制の対象となる事由が具体的に定められています。永住者であっても、以下のいずれかに該当する有罪判決を受けた場合、退去強制の対象となります。

1. 1年を超える懲役または禁錮に処せられた者 これが最も多くのケースで適用される条項です。交通犯罪(危険運転致死傷罪など)、傷害罪、窃盗罪、詐欺罪など、犯罪の種類を問わず、言い渡された刑罰が「1年を超える懲役または禁錮」であれば対象となります。

重要な点は、執行猶予が付いた判決であっても対象になるということです。「刑務所に行かなくて済んだから大丈夫」ということにはなりません。判決主文で1年を超える懲役刑が言い渡された時点で、退去強制事由に該当します。

2. 薬物関連の犯罪で有罪判決を受けた者 麻薬、大麻、覚醒剤、あへんなどの薬物に関する法令に違反し、有罪判決を受けた場合は、刑の重さにかかわらず退去強制の対象となります。薬物犯罪は日本の社会に与える影響が非常に大きいと見なされており、極めて厳しく扱われます。初犯や所持量が微量であったとしても、有罪となれば対象です。

3. 売春に関連する業務に従事した者 売春防止法に定められる「公衆の目に触れるような方法で、人を売春の相手方となるように勧誘する行為」や「売春のあっせん」など、売春に直接的または間接的に関与した場合も退去強制の対象となります。

4. その他の重大な犯罪 内乱に関する罪、外患に関する罪、殺人、強盗、放火など、社会への影響が特に大きいと判断される特定の重大犯罪についても、退去強制事由として定められています。

退去強制手続と在留特別許可の可能性#

退去強制事由に該当した場合、自動的に国外退去となるわけではありません。まず、入国警備官による違反調査が行われ、退去強制事由に該当すると判断されると、入国審査官による審査、特別審理官による口頭審理という手続きが進められます。

この手続きの中で、本人が退去強制事由に該当することを認めた場合でも、法務大臣に対して「在留特別許可」を求めることができます。在留特別許可とは、退去強制事由に該当するものの、特別な事情を考慮して例外的に日本での在留を認める制度です。

法務大臣は、以下の要素を総合的に考慮して、在留特別許可を付与するか否かを裁量で判断します。

  • 日本での在留期間や生活状況: 日本での生活が長いほど、また家族がいる、仕事があるなど生活基盤が安定しているほど、有利な事情として考慮されます。
  • 家族関係: 日本人の配偶者や子がいる、あるいは永住者の家族がいるといった人道的な配慮が必要な事情。
  • 犯罪の内容・悪質性: 犯した罪の重さや社会に与えた影響。
  • 反省の度合いと更生の可能性: 本人が深く反省し、二度と罪を犯さないという強い意志があるか。
  • 日本の社会への貢献度: これまでの活動や今後の貢献の可能性。

永住者であるという事実は、日本社会との結びつきが強いことを示すため、在留特別許可の判断において有利な事情として考慮される傾向にあります。しかし、犯罪の態様が悪質であったり、反社会性が強いと判断されたりした場合には、永住者であっても在留特別許可が認められず、退去強制となるケースも少なくありません。

まとめ#

永住権は、日本で生活する外国人にとって非常に価値のある権利ですが、それは日本の法律と社会規範を遵守することが前提となっています。たとえ永仕事であっても、一定の重大な犯罪を犯した場合は、退去強制手続の対象となり、長年築き上げた生活基盤をすべて失うリスクがあります。特に「1年を超える懲役(執行猶予付きを含む)」と「薬物犯罪」は、永住資格を失う大きな要因となることを常に認識し、責任ある行動を心がけることが極めて重要です。


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